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作業服の「ストレッチ性」の秘密|よく見かけるあの素材ワードを深堀り!

ストレッチの秘密:作業服・ワークウェアに欠かせない「伸びる生地」の正体

カスタマイズプロで取り扱う作業服・ワークウェアの紹介文に、必ずといっていいほど登場する「ストレッチ」という表記。伸びる生地を採用していることは誰しもが知るところですが、ストレッチ(生地)によるストレッチ性の違いはあるのでしょうか?ストレッチに関する数値や規定は?いまさら聞けないストレッチの秘密について迫ります!

ストレッチってそもそもなに?

英語のストレッチ(stretch:引き伸ばす)の意味のとおり、そのままズバリ「伸びる生地」をイメージされる方が多いかと思います。ストレッチ素材には、伸びる繊維を使っているか、伸びる織り方をしているかの違いはありますが、総称として伸びる生地をストレッチ素材と呼んでいるので間違ってはいません。衣料の世界では、生地が素材、繊維が原料ですので、ストレッチする(伸びる)生地はストレッチ素材としています。

原料の繊維に伸縮性があるものとしては、天然素材ならウールなどの毛の素材、合成繊維ならポリウレタンなどがあります。ウールは元々が縮れていますので、伸びたら戻る復元性があります。この特性を活かして作られていたのがウール製のスポーツジャケットや乗馬用ボトムスなど。そして繊維自体が持つ復元性に着目して作られたのが、伸縮性を持つポリウレタン糸(スパンデックス糸)でした。綿やポリエステルの生地に数%ほど混ぜるだけでストレッチ素材になりますので、伸びる生地の作業服はポリウレタンのおかげと言ってもいいかもしれません。

ポリウレタン生地が入ることで作業着にストレッチ性が加わることの説明画像

伸びる素材をさらに伸ばす織り方

原料それぞれの良さを活かしてバランス良く混紡されているのが最新のストレッチ生地ですが、織り方によっても伸縮性は変わります。伸びる繊維がまだなかった頃は、織り方の工夫で生地に柔軟性を持たせていました。例えば、ニット素材でよく使われるリブ編みや天竺編みは編み構造そのものによって伸びますし、絹のちりめん(クレープ)は強い撚りをかけた糸を交互に織り込むことで生地に縮みとたわみを生み出しています。また、ツイルやデニム、ダンガリー、ネルなどの綿織物や、フラノ、メルトン、ツイードやギャバジン、サージなどの毛織物では綾織や杉綾織にすることで多少の伸縮性を持たせる工夫もされてきました。

綾織や杉綾織の説明画像

原料が伸びる繊維であれば、伸びる織り方をすることでさらにストレッチ性が期待できます。さらに生地を斜め(バイアス)にカットすることでさらに伸びやすくする方法もあり、ストレッチには繊維や織り方だけでない経験と知恵を積み上げた歴史があります。最新の衣料で驚くほど伸縮性がある生地はそうした工夫がたくさん施されていて、もちろん作業服やワークウェアにも反映されています。ただし、綾織などの生地はやわらかくシワがよりにくいメリットがある一方で、摩擦に弱いというデメリットも。これは生地に強度や耐久性を期待されるワークウェアにとっては難しい悩みどころです。

逆転の発想で耐久時間もストレッチ

しかし、見方によっては生地が伸びることでダメージを受け流すとも考えられます。ストレッチ素材は伸縮性だけでなく、元に戻ろうとする反発性(キックバック性)も持っており、これでヨレを防いでいます。力が加わった場所が伸びてくれれば摩擦は起きにくいですし、ヨレたままにならず元に戻れば洗濯時のダメージも受けにくくなります。強度は決して高くなくても、機能性で耐久度を上げているのがストレッチ素材と言えるでしょう。

ストレッチ性のある素材により耐久力もUPしていることの説明画像

また、混紡のストレッチ素材であれば吸水速乾性なども期待できます。水分が残りにくく乾きやすいということは、洗濯から乾燥までの時間が短くて済むということ。結果的に生地の劣化スピードも抑えられますので毎日着る人にとっては二重でありがたい点と言えます。繊維と織り方に最新の技術とノウハウが詰め込まれたストレッチ素材ですから、作業服やワークウェアのメーカー各社がこぞって採用するのもうなずける話です。

ストレッチに基準や指数はあるの?

普段着やスポーツウェアだけでなく、作業服やワークウェアでも見かけることが非常に多くなってきたストレッチ素材ですが、一般的に知られる指標や数値の目安がないのが残念なところです。引張強さ試験(JIS L 1096)の規格にストレッチ性/伸び率・伸長弾性率を測る項目はありますが、透湿度のようにわかりやすく分類された目安がつくられていません。ストレッチ性をつくるうえで重要なポリウレタンなどの混紡率を目安とする考え方もありますが、これも原料や織り方で生地のストレッチ性能は異なってくるため、アテにしにくいのが本音でしょう。

透湿度について説明した記事はこちら

なお、ファッションアパレルではストレッチの伸び方向を示して、1wayや2wayと表現している場合もあります。1wayであればタテまたはヨコのどちらか1方向に伸びる2wayであればタテヨコどちらにも伸びる、という意味になります。ごくたまに2wayのことを上下左右に伸びるという意味で4wayと書いている場合もありますが、基本的には1wayまたは2wayの2パターンの伸び方向となります。

1wayと2wayストレッチの違いの説明画像

まとめ

ストレッチ(素材)は伸びる生地のことですが、伸びる繊維と伸びる織り方を巧みに組み合わせてつくられています。ストレッチ性能を示す指標や数値はありませんが、ポリウレタンなどの混紡率で予想をすることは可能です。ただし、生地によっては伸び方向が限定されている場合もあるので注意。繰り返しの洗濯にも強く、持ち前の伸縮性と反発性で生地は痛みにくいとはいえ、生地同士が擦れるような摩擦には強くないことを忘れずに。

ストレッチに関する性能だけでなく、吸水速乾性が良くて着心地や肌ざわりが良いのもストレッチ素材の利点です。この記事をこれからの作業服、ワークウェア選びにお役立ていただければ幸いです。

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