TC素材(綿ポリ)徹底解説:T/C・綿・ポリエステルの違いと特徴
カスタマイズプロの取り扱い商品でよく見かける「TC」の表記。一般的には綿とポリエステルの混紡生地と認識されている方も多いようですが、実際のところはどういった素材なのでしょうか? 綿とポリエステルのハイブリッド素材ならば性能は間違いないはず....。そこで今回はTCと綿、ポリエステルの違いについて説明していきます。
そもそもT/Cって素材のこと?
カスタマイズプロの商品紹介ページにも登場する「TC」や「T/C」という表記ですが、この意味を正確にご存知な方はそう多くないと思います。
一般的に「TC」や「T/C」は、綿ポリエステル(綿ポリと略すことが多い)のことを指し、そのまま「ティーシー」と呼んで綿ポリ素材を使っている生地のことを示す場合がほとんどでしょう。いわばTCやT/Cと綿ポリをイコールのように使っている人もいるわけですが、これには注意が必要です。
それというのも、「TC」とは「T:テトロン」と「C:コットン」の略で、テトロンは東レ株式会社と帝人株式会社の商標登録名です。
二社が共同開発したポリエステル系合成繊維がテトロンですから、テトロンを使っていない生地の場合は「TC」や「T/C」と表記することはできないわけです。商品や生地の説明に「TC」や「T/C」と表記されていないかぎりは、「TC」や「T/C」と使わないよう注意しないといけませんね。

綿とポリエステルの割合
そんな「綿ポリ」ですが、必ず表記されているのが綿とポリエステルの割合です。
商品情報の生地について見ていくとおもしろいのが、「ポリエステル90%・綿10%」や「ポリエステル75%・綿25%」といったように綿ポリといっても割合は同じではないこと。なかには「ネイビー・ブラック:ポリエステル50%・綿50%」のように生地の色ごとに違っている場合もあって興味深いです。
こうして割合を変える理由は、それぞれの良いところを活かすためだったり、それぞれの得意ではない機能性をカバーしあう理由だったり、目的や用途によって異なります。
そしてある意味もっとも影響があるのが、発色だったり風合いの違い。綿とポリエステルの単なる混用率だけではなく、どうやって生地が作られている(織られている)かも関係してきます。
2種類ある綿ポリ生地(混紡と交織)
綿ポリで目にする言葉として「混紡」というのがありますが、これは文字通り綿とポリエステルのわたを混ぜて紡いだ混紡糸。織って生地にする前の糸の段階ですでに「綿ポリ」なわけです。この綿ポリ混紡糸で織られた生地は、糸の段階での混用率がそのまま表記となります。一般的には「ポリエステル65%・綿35%」あたりの綿ポリ混紡糸が多い印象です。
対して、ポリエステル糸と綿糸をそれぞれタテヨコの糸として織った「交織」と呼ばれる綿ポリ生地もあります。タテ糸とヨコ糸には、それぞれ100%のポリエステル糸と綿糸を使いますが、それぞれの糸の割合でパーセンテージ表記が決まってきます。

生地はタテ糸のほうが密度が高いので、どちらの糸をタテ糸に使うかで生地色の濃淡は変わってきます。もちろん風合いや機能性にも関係することですが、染め分けがしやすいポリエステル糸をどちらに使っているかで見るほうがわかりやすいでしょう。
(綿ポリではないですが)わかりやすさのために書いておきますが、タテ糸にインディゴブルー、ヨコ糸に白を使っているのがデニム生地、逆にタテ糸に白、ヨコ糸にインディゴブルーを使っているのがダンガリーです。タテヨコの糸色が変わると生地の色合いも変わる良い例だと思います。

それぞれの特長について
綿ポリエステルの特性
綿の良さは、自然由来の素材ならではの風合いや肌触りの良さ。タオルなどに使われていることからもそれがよくわかります。吸水性の良さについては言うまでもありません。
対してポリエステルは吸水性が低いかわりに、シワになりにくく素材そのものにハリがあります。アイロンはあてにくいものの洗濯に強く、長持ちする発色の良さも特長です。
そんな綿とポリエステルそれぞれの良いところを引き出し、苦手な部分を打ち消しあうよう設計された綿ポリエステルはいわばハイブリッド素材。綿とポリエステルの混用率と織り方によって、生地の性格も性質も変わってきます。いわば糸や生地の段階から狙いをもって生まれてきた綿ポリエステルですから、双方の性質を兼ね備えているのが特長と言って良いでしょう。製造の観点からも扱いやすさは抜群です。
綿・ポリエステル・綿ポリエステルのアイロン温度
| 綿 |
180~200°(高) |
| ポリエステル |
120~140°(低~中) |
| 綿ポリエステル | 120~140°(低~中) 当て布が必要 |
綿ポリエステルのメリットデメリット

ワークウェアに向いているのは?
素性の良さからいえば断然綿ポリエステル!と言いたいところですが、作業服やワークウェアが活躍する場面はさまざまです。
例えば、火を扱うような現場ではポリエステル100%のウェアは厳禁。これは石油由来の素材であるポリエステルは燃焼しやすく、すぐに溶けてしまうのが理由です。
綿100%のほうが耐熱性は高く、繊維が溶けるわけではないので肌に付着するリスクも低く、火を扱う現場の方は綿100%のウェアを選ぶことが多いでしょう。綿100%は吸水性が良いため汗も染み込んでしまいますが、これが燃えにくくしている理由のひとつかもしれません。

ただし、綿100%も不燃というわけではありませんので注意が必要です。防炎加工や制電機能を持たせた綿ポリエステル素材の難燃ウェアも登場していますし、素材の段階で加工を施した難燃ポリエステル製品もあります。綿やポリエステル以外の繊維でつくられた難燃ウェアも存在します。
用途や目的に応じてしっかり選ぶことが重要で、コスパの良さやストレッチ性の高い着心地などに惹かれて機能性をおろそかにしないように気をつけたいものです。
まとめ
綿とポリエステルの良いとこどりをした素材が綿ポリエステルですが、織り方や製造方法と混用率で性質も特長も変わってきます。
商標登録名であるTCも綿ポリエステル素材の仲間ですが、このTCにも混用率の違いによる製品ごとの違いは存在します。
綿ポリエステルは綿100%とポリエステル100%の間に位置する製品ですが、製造方法や混用率、加工によってさらに特長を引き出された生地でもあります。混用率による綿ポリ製品の違いや性能に着目してみると、ワークウェア選びもより楽しくなると思います。
カスタマイズプロでは、使用環境やご希望を丁寧にヒアリングし、おすすめのワークウェアをご提案することもできます。どのワークウェアにするかお悩みの際は、お気軽にお問い合わせください。

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