先日のメルマガでも取り上げました『裾ハーフ』ですが、正直なかなか馴染みのない言葉だと思うんですよね。おそらく裾ハーフがわかる方は、裾延長や下駄はかせもわかると思います。一部の方にしかニーズのない商品状態(加工)を示す言葉ですので。
ただ、お客様の中には授業員さんスタッフさんのウエア発注を担っている方もいることでしょうし、そうした方にとっては覚えておいて損のない言葉だと思います。今日は図解をまじえて紹介します。
まずは商品の裾の長さについてですが、これはまあいわゆる股下やレングス、裾丈と言っているものです。おおよそのメーカーさんが股下の縫い目から裾の端、先端までの長さをcmで表していますね。メーカーさんによって採寸ルールが違うこともあるので注意が必要ですが。この長さをお好みのサイズに短く加工するのが「裾上げ」や「裾詰め」「裾丈詰め」というもので、裾に関する加工である「裾直し」の一つとなります。世の中の裾加工のほとんどが裾詰めと言ってもいいでしょう。
ですが、なかにはメーカー既製品の裾の長さでは短い!という方もいらっしゃいます(うらやましい)。
そういった足長さんは普段着やカジュアルウエアであれば、海外製品でなんとかしているとの声も聞きます。送料と工賃はかかりますが、海外通販で元からレングスの長いパンツを買ってお直しに持ち込む、というのも少なくないようです。女性はあえてメンズの商品を買ったりしているそうですね。しかし、作業服やワークウエアにはそうした代替物が少ないので本当に困るそうです。
そんな方達のためにラインナップしている加工が、『裾出し』や『裾延長』といった加工メニューで、それを見越してリリースされている商品が『裾ハーフ』です。さすがカスタマイズプロ!自画自賛!
上の図を参考に、まずは『裾出し』について。大抵のボトムス(パンツ、ズボン)は折り返しがあります。生地を何cmか内側に織り込んでから縫ってあり、この幅を折り返し幅と言ったりします。スーツなどではここの裾の仕上げをシングルまたはダブルで何cmにするかというのが大事だったりしますがちょっと余計な話なので割愛します。
作業服やワークウエアでも折り返しの余裕を作ってある場合があって、いちど縫い目をほどいて折り返してあった生地を出し、もういちど折り返して裾までの長さを調整するのが『裾出し』です。当然ながら元の生地の長さに余裕がないとできないわけで、折り返して再度縫うことを考えるとさほど長さは出せません。折り返しが5cmあっても、そのまま5cmを出す(伸ばす)ことはできないというわけです。
最初から裾を仕上げずに長いままで販売しているのが『裾ハーフ』商品です。最初から裾が切りっぱなしなので、裾詰め(上げ)する前提で販売しています。こちらは一定のニーズがあって、先日メルマガで紹介したTS Designさんの裾ハーフ商品もいくつかご注文いただきました。先にちょっとスーツのことに触れましたが、スーツのセミオーダーやパターンオーダー品などはこうして裾の仕上げをせずに販売されていますね。
そしてもう一つが『裾延長』なのですが、これは前出の加工メニューよりもさらに手がかかります。延長したい分だけ生地を用意して追加するというだけなのですが、継ぎ手があるわけでもないですから手間がかかります。生地を切り出して縫って裾上げして...と工程が多いのです。
また、この『裾延長』にのみ注意しないといけない点として、同色同素材の生地でないと変!というのがあります。同素材は無理でも、せめて同色にしないと、、、想像できますよね? 裾の数cmだけ色の違うワークパンツはちょっとファッショナブルすぎやしませんか、と。まあそうならないように、カスタマイズプロではメーカー様から同素材の生地を取り寄せていまして、同色同素材で裾延長ができるようにしています。対応メーカーはかぎられますが、オフィシャルな生地ですから満足度は高いと思います。縫い目が増えてしまうのだけは我慢していただくよりありませんが。
ちなみに裾延長は「下駄はかせ」と言ったりします。言葉のとおりで、生地を継ぎ足して裾の長さを延長するのですからそのままです。ただ、下駄をはかせるというのは水増し的なニュアンスもあってあんまり良い印象ではないかもしれません。あと冬場に下駄を履いていると風邪ひきます。